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2011/09/16

[Bass] DingwallのSuper J、LSS、Prima Artist、Z3を試奏してきた
先日は諸用あって上京していたんですが、上京ついでにDingwallのベースを色々試奏してきました。

Dingwallのベースは以前三木楽器さんで試奏した事があったんですが、それ以降Dingwallの他のベースを実際に弾いてみたいという気持ちが強くなり、今回その念願を成就すべく、まずはロックハウスイケベさんにお邪魔しました。

Dingwall - Super J5
(Photo by ロックハウスイケベ)

まずはSuper Jの5弦から。

まずはそのボディの色に目を奪われました。Bronze Ageというカラーだそうですが、オレンジがかったメタリックのような色で、目新しさもありながらどこか懐かしさを感じさせる不思議な色でした。そして早速音を出してみたんですが、そこで肩透かしを食らいました。「あれ?思ったほど低音に太さがないなぁ」というのが最初の率直な感想でした。

でもこれは、私自身がアッシュボディだと思い込んでいたのが、実はアルダーボディだったというのが事の顛末でした。恥ずかしながら、メイプル指板なのを見て勝手に70年代仕様と思い込んでいました。でもそれがわかったお陰で、ですべて合点が行きました。恐らくメイプル指板の影響が出てると思うんですが、いわゆる60年代スタイルのジャズベっぽさを匂わせながらも少し硬めのブライトな出音は、見た目同様古典的な要素と現代的な要素を両方感じさせる音色で、こういうのもアリだと思いました。

Dingwall - LSS5
(Photo by ロックハウスイケベ)

そして続いてはLSS(Lee Sklar Signature)の5弦を試奏。このモデルはリーランド・スカラー(Leland Sklar)氏のシグネチャーモデルとして製作されたもので、もちろんご本人も使用されています。


Lee Sklar and Sheldon Dingwall Interview 2010
Lee Sklar and Sheldon Dingwall Interview 2010 HD

見た目は先のSuper J同様美しいメタリックで、Dingwallの塗装技術の高さが伺えます。そして音の方はというとこれがとても良く、先ほどのSuper Jとは異なり、アルダー特有のしっかりしたミドルにさらに芯を加えたようなプリプリ跳ねるような音はとても心地よく、Glockenklangの内蔵プリアンプをONにしてもアクティブ臭さを感じさせない出音でした。そして何と言っても37インチの超ロングスケールから出るローBの音の鳴りは素晴らしいの一言。

そしてDingwallの特徴でもある小さめのフレットによる滑らかな演奏性ですが、他のモデルはバンジョー用のフレットが使用されているのに対し、このモデルはさらに小さいマンドリン用フレットが使用されているのが特徴で、まるでフレットが打たれていないかのような滑らかな演奏性には驚きました。しかしあまりにフレットが小さいので、スラップには不向きかも知れません。アルダーの音が好きな方にはおすすめです。

Dingwall - Prima Artist
(Photo by ロックハウスイケベ)

そして三本目はフラッグシップモデル、Prima Artistです。

見た目はもう語る必要もないですよね。陳列時からすでにハイエンドベースのオーラを漂わせていました。高級で希少な素材を惜しげもなく使用したその姿は、誰が見ても息を飲むでしょう。ただ、そういった希少材を使用している分、他のモデルに比べ若干重くなっているようです。といっても4kg弱なので、一般的なベースに比べものすごく軽いです。Dingwallのベースの魅力は重さによる奏者への負担がとても少ない所も特筆すべき点ですね。

そして音ですが、これがまたすごい。先ほどの2本とはまるで違います。暖かいながらも透明感のある太い低域から繊細ながらもまろやかな芯のある美しい高域まで自然な広がりと繋がりを感じさせるワイドレンジな出音はまさにエレガント。きっとピックアップの仕様も先の2本とは全く違うものだと思います。変な言い方かも知れませんが、このモデルだけヨーロッパで作られているのではないかと錯覚するような、アコースティックな響きを感じさせる気品のある音でした。和音の響きもとても綺麗でした。

さすがフラッグシップといったところでしょうか。個人的にはこれほど希少な材は使わなくていいので、シンプルな構成でこのピックアップを搭載したモデルが欲しいなと思いました。

余談ですが、今回の試奏をする以前にイケベさんに一度Dingwallの件で問い合わせた事があったんですが、今回試奏をしている際に色々お話していたらお店の方が当時のやり取りを覚えてくださっていたようで、「もしかして以前、お電話下さいました?」と尋ねられてとても驚きました。大阪から問い合わせるような奇特な人、他にいなかったのかも知れませんね(笑)。

そしてロックハウスイケベさんを後にし、個人的にとてもお会いしたかったSleek Eliteさんの所にお邪魔しに行きました。そこで広瀬さんが所有されてらっしゃるZ3を触らせていただきました。Sleek Eliteさんにお邪魔した件については 別途記事をアップする予定です 別途記事をアップしましたので、そちらをご覧下さい。

Dingwall - Z3 5st
(Photo by Sleek Elite)

またもや見た目で度肝を抜かれました。これは広瀬さんが「珍しい色にしてほしい」と注文された所、このようなカラーリングになったそうです。珍しいのはカラーだけではなくピックアップの配置もユニークなんですが、これは元々ジャズベスタイルのピックアップレイアウトを施したZ1と、先ほどのLSSのようにブリッジ側に2本ピックアップを配置したZ2を組み合わせた結果なのだそうです。

実際に弾いてみた感想ですが、かなり私好みです。低音側の音の輪郭が明瞭でしっかりとし高音側の音は硬すぎず、とてもバランスが良いのはDingwall の特徴ですが、何よりこの独特なピックアップ配置による多彩な音色に感動しました。

大雑把な言い方をすれば、ジャズベ、プレベ、スティングレイそれぞれの音色をこれ1本で使い分けることができるんです。しかもピックアップはシリーズとパラレルの切り替えができるんで実際はそれ以上に色んな音作りができり芸達者ぶり。しかしながら決して器用貧乏ではなく、全ての出音がライブでもレコーディングでも即戦力に成り得る音でした。これ1本あればどんな状況でも対応できそうです。LSSシリーズとは違い、一般的なものよりフレットは小さめとは言え、スラップでもしっかりプル音は鳴ってくれていました。


Dingwall Z Serie (Barry Lamb @ Musik-Schmidt)
Dingwall Z Serie (Barry Lamb @ Musik-Schmidt) HD

でも気になった点はありまして、このZシリーズは基本24フレット仕様で、しかもZ1やZ3はジャズベスタイルのピックアップレイアウトになっているので、オーソドックスなスタイルのスラップは問題なく可能なんですが、ヴィクター・ウッテンのように指を2本使うような連続プルは厳しいと思います。ところがその事を広瀬さんにお伝えしたら、なんと22フレット仕様でオーダーも可能との事。なので、スラップを多用される方は22フレット仕様でオーダーする方が良いかも知れません。

あと、これはどのシリーズも共通して言えることですが、音が鳴っている最中にロータリー形式のピックアップセレクタを操作すると「パチッ」という感じのノイズが出てしまい、演奏している最中にこの音が出ちゃうと結構目立ちそうなので、演奏途中にピックアップレイアウトを切り替えたい場合はミュートしている間に切り替えるなどの配慮が必要になってくると思います。

以上、Dingwall4本弾き比べをしてみて感想を総括すると、一味違うジャズベが欲しいならSuper J、アルダーのプリプリ感を味わいたいならLSS、気品ある上質サウンドを求めるならPrima Artist、一本で幅広くカバーしたいならZ3といった感じです。複数本持ち歩いたり、持ち替えるのが億劫だと感じるめんどくさがりな私にとってはZ3はまさにうってつけの逸品だと感じました。今回弾かせてもらった「Z3」はアルダーとアッシュのハイブリッドボディだったので、次回は私の好みであるアッシュボディのみのものも弾いてみたいですね。

未知の鳴りと演奏性を兼ね備えたDingwallのベース、是非お試し下さいませ。

<サイト内リンク>
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<関連リンク>
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